流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。
離婚調停の際、子どもの面会交流について取り決めたが、相手に子どもを渡すのは不安であるから、やっぱり面会交流を拒否したい、などとご相談にいらっしゃる方がいます。
どうあれ、離婚した相手に大切なお子さんを預けることに不安を覚えられることは、私個人として、とても良く理解できます。
とはいえ、一度調停で決まってしまったことを反故にして、面会交流を拒否することは、基本的にお勧めできません。調停での取り決めを実現するのは、当事者の義務であるといえるからです。
特に、お子さんにとっては、離婚していてもお父さんはお父さん、お母さんはお母さんです。面会交流をきちんと実施することが、お子さんの福祉に適うものである以上、適切な面会交流を実現する方向で考えるべきではないでしょうか。
もっとも、面会交流を行うことに具体的な問題が生じている場合など、調停成立後の事情が大きく変化しているには、子の福祉のため、面会交流を拒否できる場合もあるでしょう。例えば、面会交流の際にお子さんを虐待しているとか、お子さんを連れ去って返さないおそれがあるなどといった事情を具体的に主張立証できる場合であれば、面会交流を拒絶しても良いと考えます。
この場合は、改めて家庭裁判所に、面会交流についての調停を申し立て、面会交流を行わないよう、以前の調停を変更してもらうべきでしょう。相手方が調停に応じなかったり、面会交流を行わないという内容を拒絶したりしたときは、審判を求め、裁判所に決定を下してもらう方法を取るべきです。